大阪杯

ドリームジャーニーが勝利。五分の発馬でもそこから他馬に遅れてしまうのはいつもの事。自然に折り合いがついた位置が、ディープスカイをすぐ前方に見ながらレースを進めることが出来る8番手でした。少頭数でこうなればしめたもので、後はディープスカイを目標にしながら仕掛けのタイミングを窺うだけ。スイープトウショウデュランダルと、難しい脚質の馬たちの一瞬の決め手を発揮させ多くのG1を射止めてきた池添謙一騎手の仕掛けに見事に応え、最後はクビ差だけ大本命馬を封じ切りました。体の小さい追い込み馬であるがゆえに、毎回同じように実力を発揮できるわけではないでしょうが、型に嵌った時の強さをまたしても証明する結果。
ディープスカイは2着。五分の発馬でスローな流れも中団外めで折り合いが付きました。直線も早々にドリームジャーニーに交わされ力尽きるかと思われましたが、そこから盛り返してクビ差まで詰め寄るなど、総合的な内容は良かった印象。休み明けに59kgなど不利な要素もあり、負けはしましたが好スタートが切れたと見て良いかもしれません。
3着カワカミプリンセスはスタートしてすぐに左右の馬に寄られて後方からの競馬。直線大外に持ち出して末脚を伸ばしましたが0.3差に詰め寄るのが精一杯。しかしスローの流れで後方から上がり3ハロン出走馬中最速の33.8秒を繰り出し、強豪牡馬相手に3着であればG1ヴィクトリアマイルで強気になれます。阪神牝馬Sの結果がまだですが、主役の1頭。
自分向きの競馬になったはずの4着アドマイヤフジはこの辺りが実力ということでしょう。5着ダイシングロウは控える競馬が板に付いて来ましたが、展開が向かない限りは入着候補どまりです。6着シャドウゲイトも同様。8着サンライズマックスはプラス10kg。騎乗した岩田康誠騎手は窮屈な競馬をさせたことを敗因に挙げている模様ですが、それ以前に実力を出せる状態だったのかどうかに疑問です。
マツリダゴッホは7着。道中は掛かり気味の追走もこの馬の過去のレース傾向から見ても許容範囲内のもの。早目の仕掛けがこの馬のいつものパターンですがそれはせず、逆に直線入り口でポッカリと開いた最内を突っ込んで行けたため、結果としては早目先頭のいつものパターンに。3,4コーナーで仕掛けて行かなかった分脚も充分に溜まっているはずで、ゴール前の失速の原因は武豊騎手も言っていた通り分かりません。上がり3ハロン35.0秒も掛かっているようでは、切れ負けもクソもないでしょう。次走がどこになるのかまだ分かりませんが、大いに不安を残す結果。

ヴィクトリー

11着に沈んだヴィクトリーは今回も注文をつけて逃げの手を打ちました。5ハロン通過が60秒丁度でこの失速では、能力落ちの印象さえあります。3歳時は行きたがる気性を抑えず行かせることで折り合いが付いた馬で、皐月賞を勝利したレースを振り返れば田中勝春騎手が(オーダーで)序盤抑えてレースを進めようとしていたところ、激しく引っ掛かって1,2コーナーで大外を周り一気に先手を奪うという極めてロスの多い内容で勝利しました。秋以降は無理やりに抑える競馬を施したがゆえに不振を招き、今では逆に注文を付けないと逃げられない馬になってしまいました。私が再三例に出すのはコスモバルクやミッドタウンなど、逃げることで強く安定した結果を残して来た馬たちのことです。控える競馬が身に付くごとに勝利を収めるどころか、掲示板に乗るか乗らないかという次元で争うレベルにまで落ち込んでしまいました。抑える競馬が競走能力を支える闘争心までをも抑え込んでしまった。それが私の受けた印象です。逆に「抑える」という概念を取り払ったサイレンススズカの快進撃はもはや語るまでもありません。
『暴走』を制するための抑える競馬であるのならば、それは的を射ていると思います。しかし上記の馬たちは行かせることで折り合いが付いていたわけです。何度も「行くな」と抑え込まれて来たヴィクトリーが今度は「行け」と強要される。いち競馬素人の勘繰りにもなりましょうが、それだけで馬が気分を害しているのではないかとも思えてきてしまいます。馬の気分に任せて競馬をした結果G1を取った馬です。「逃げる」か「抑える」かに拘泥されず、「馬の気分に任せる」ことをまず試してみて欲しいと思います。以前物した「逃げがベター」は撤回しなければなりませんね。ですがそれは、「注文を付けなければ逃げることが出来なくなった」からです。3歳時のヴィクトリーに関しては「逃げがベスト」でした。