スタートがハイライト

中間、僅かばかりの予定変更こそ生じたものの、ヴァーミリアンが無事出走する運びとなったことによって、カネヒキリ断然一強ムードは回避される模様。ダイワスカーレットのリタイアで、穴党には妙味の少ない下馬評とはなりましたが、ダートの日本一決定戦として、相応しいメンバーが揃ったことは間違いないでしょう。
屈腱炎から奇跡的に立ち直ったカネヒキリは、ヴァーミリアンには目下のところ負け無し。直近のGIでも2連勝中で、着差は僅かでも、王者の貫禄は充分。休養していた2年もの間にもその力関係は変わらなかったということなのでしょうか。
ヴァーミリアンの巻き返しは可能とみます。JCダートは馬体重増(それでも春フェブラリーSを制した当時に比べ、4kg増に留まりますが)、岩田騎手のややボーンヘッドにうつる騎乗など、はっきりとした原因が重なり3着に敗れ去りました。万全と思われた体調でカネヒキリに敗れた東京大賞典の結果をどう受け取るか、が焦点。上がりの競馬で前後に位置した2頭のポジションが、そのままゴール板を過ぎるまで変わらなかった点に、私は今回、逆転の余地ありと見たわけです。
金曜日に発表されたフェブラリーSの枠順。2強はそれぞれカネヒキリが2番枠、ヴァーミリアンが9番枠に入りました。大跳びで一瞬の切れよりも、むしろかつてのハットトリックのように、平均して速い脚を持続して繰り出すのがカネヒキリ。2番枠からのスタートは決して恵まれたとはいえないでしょうが、スタートさえ決めてしまえば、最短コースを生かしてあっさりと抜け出すシーンも想像できます。
ヴァーミリアンカネヒキリよりも小脚を器用に使えるタイプ。スタートの悪さがネックで出来れば偶数枠が欲しかったところでしょうが、こちらもスタートさえ決めてしまえれば、両隣にいるのは追い込み脚質の馬ばかり。無理せず3、4番手に付けて、後は昨年の再現、もありえます。
スタートして前に位置取った側が勝利する。それほどまでに2強の実力差は拮抗している、というのが結論です。
カネヒキリが王者たる所以を再び示すため、クリストフ・ルメールは自らの競馬に徹して勝ちに行く戦術を選択してくるはず。一方ヴァーミリアンの目標は、カネヒキリに勝利すること。レースへの勝利はその副産物、という胸中で武豊が臨んでくるかが、逆転の扉を開く鍵となる気がしています。この差がGIという大舞台で大きく作用してくるはず。いずれにせよ胸のすくような名勝負を期待します。2強に割って入る最右翼はフェラーリピサ岩田康誠鞍上はとにかく魅力。