桜花賞

安藤勝巳騎手鞍上ダイワスカーレットの桜花賞戴冠。デビュー２戦目からここまで上がり33秒台を連続してたたき出した末脚はＧ１の舞台でも健在でした。テンは大外枠からやや内側の枠を引いた武豊アストンマーチャンの後ろを付いていくような出だし。折り合いに不安のあるこの馬にとっては格好の「壁役」をマーチャンが担ってくれました。道中は常にすぐ後方に居るウォッカの動向を背中で感じながら３、４コーナーは馬任せで動きだします。直線入り口で外に持ち出し並びかけようとするウォッカを確認した安藤勝騎手はここでスパート。上がり33秒台の末脚で突き放して見せました。ゴール前50ｍ付近で安藤勝騎手の右手が上がる改心の勝利。前半1000m59秒８の超スローペースを克服した内容からオークスでも中心視されることでしょう。
ウォッカは前に目標の出来る絶好の展開。仕上がりも万全に見えただけに敗因は謎です。３、４コーナーでの行きっぷりも直線追い出されてからの反応もこの馬本来のものではありませんでした。ただしこのスローペースで行きたがる素振りも見せずに折り合った道中はオークスに向けて強調材料になるはずです。血統的にも2400ｍはベター。巻き返しは必至でしょうか。
アストンマーチャンは超スローペースに泣きました。とにかくスピード能力の絶対値がケタ外れに高い馬。1400ｍ以下がベストとされますが1400ｍでも半信半疑と見ます。1200ｍ以下ならば歴代の名スプリンターと比較しても全く見劣りしない素質を感じさせるだけに、次走に予定されていると聞くＮＨＫマイルカップへの出走も疑問に思います。中京のファルコンＳを好時計で快勝したアドマイヤホクトと同様に夏のサマースプリントシリーズまでの充電を推奨したいところ。強烈なピッチ走方はかつてのブロードアピールを彷彿とさせるだけに、ダート短距離路線への転換も悪くはないでしょう。
カタマチボタンはもともとこれぐらい走って良いだけの馬。乗り代わりに強い藤田騎手騎乗も好走の要因です。ローブデコルテはコジーンの産駒らしく、やはり極端な競馬が合っています。スローペースとはいえ後方に待機させた作戦は成功でしょう。血統的にオークスは微妙ですが瞬発力勝負になれば浮上の可能性はあります。イクスキューズが後方に置かれたのには驚きました。これまで掛かりすぎるぐらい掛かっていたこの馬のいきなりの「優等生ぶり」にはどんな騎手でも対処は不可能でしょう。巻き返しの場所はオークスでしょうか？　ボストンハーバーの産駒は短距離馬が多いだけにＮＨＫマイルカップという手もありますが。果たして。