アーリントンCからスプリングSまでを振り返る

随分とまた間が開いてしまいました^^; 持続しないのは悪い癖ですね本当に。

アーリントンC

阪神の長い直線を使ったマッチレース。抜け出したのは四位洋文トーセンキャプテン本田優ローレルゲレイロ。後続を4馬身千切り捨てクビの差だけトーセンキャプテンが制して見せました。デビューから2戦、味のある競馬で連勝を重ねて来たこのジャングルポケット産駒はこの日、内枠より先団馬群の中でレースを進め、直線は狭いところをこじ開けてくるような小器用さを披露して見せました。小回りで内枠の先行馬有利の傾向もある皐月賞に向けた絶好の予行演習を結果として済ませることが出来たといって良く、一気にフサイチホウオーを頂点とするクラシック候補の上位に位置づけました。僅差で敗れたローレルゲレイロも小器用さという点では見劣らないものの、キャリア2戦の馬に完敗したとあっては展開の助けも必要となりますか。千切られた3着以下に目ぼしい馬は少なくとも皐月賞に向けては見当たりません。

チューリップ賞

桜花賞と同じ条件で施行され歴史上最も本番に直結しているこのレースは予想された通り2強の一騎打ちとなりました。そして抜け出したのは先週のアーリントンCの時同様、四位洋文鞍上のウォッカでした。2着となった安藤勝巳ダイワスカーレットは意に反してのものとは思われますが超スローの逃げでレースを作り切り、直線も抜群の手応えからウォッカを待つ余裕さえありましたが、大外を馬なりで上がってきたウォッカはあっという間に馬体を並べ、四位騎手が気合をつけた程度の追い出しにもかかわらず難なく差し切って見せました。伸びやかでダイナミックなストライド。大外から他を圧するかのような迫力は既に女王の貫禄すら感じさせるほどです。レース後同馬を管理する角居調教師が「これ以上成長したら牡馬と対戦することになってしまう」とやや謙遜して見せたようですが、桜花賞のレースぶり次第では本当に牡馬相手のダービー制覇へと矛先を変えることも充分に考えられることです。それだけの印象を残して見せました。一方のダイワスカーレットは安藤勝巳騎手が言うように本来は器用な馬。超スローで先手を取らざるを得なかった今回とは違い、本番はある程度ペースも流れることが予想されるので、逆転の活路はあります。元はといえば2走前に後の弥生賞馬を完封して見せたほどの実力馬。男勝りはこちらとて同じことです。

弥生賞

弥生賞男」武豊アドマイヤオーラが勝利。ここまでのキャリア3戦は超スローの展開ゆえに自然と前に位置取ることとなっていただけで、各コーナーの通過順位ほど器用なレースをするという印象のない馬でしたが、今回は本番皐月賞の多馬数を意識して武豊騎手がスタートから手綱を動かして好位を取りに行く作戦で、やや速い流れの5、6番手につけました。直線は大外から捲って出てきた吉田豊ココナッツパンチの強襲にあいましたが、馬体を並べられてからもうひと伸びしたように余裕がありました。優等生の競馬で結果を残して見せたことにより、皐月賞ではフサイチホウオーと並ぶ最有力候補として軸馬に数えられるようになるでしょう。勝ち時計2分00秒5も優秀です。クビ差2着のココナッツパンチはキャリア1戦を考えれば上出来です。しかし多頭数でごちゃつくだろう本番で同じような結果が出せるかどうかはまだ微妙です。後ろから行く脚質は皐月賞では不利となるだけに、前々でレースをする展開も試したいところでしょうが時間はありません。それを試したアドマイヤオーラ武豊騎手の抜かりなさはやはり名騎手であるがゆえでしょう。3着は2歳王者のドリームジャーニー。道中掛かり気味だった上にぶつけられると弱い小柄な馬の宿命を露呈してしまいましたが、これは本番に向けて教訓となるはずです。収穫はありました。

フィリーズレビューアネモネS

同じ芝1400mは昨年のファンタジーSで記録的な圧勝を収めた時とコースの違いこそあれ同じ条件。それだけに武豊アストンマーチャンの快勝劇は圧倒的1番人気に支持されたことが示した通り当然の結果でした。道悪競馬となりましたが父親のアドマイヤコジーンも渋い馬場を苦にしなかったように適正は充分。ピッチ走法も道悪巧者のそれです。このレースでは武豊騎手も別段テーマを持って挑んだわけでもなかったようで、相変わらずの絶対能力の高さを見せ付けたことと、これも相変わらずでしたが道中やや掛かり気味だったように本番の距離1600mへの不安を露呈しただけにとどまりましたが、本番も馬場が渋るようならば巧者としてのアドバンテージが生きるという点に収穫を見出せます。どうでも良い話になりますが、戦無理とは承知でも今すぐこの馬を高松宮記念に駆り出したいところではあります^^; アネモネSは地方所属・内田博幸鞍上の1番人気エミーズスマイルが快勝。レースを重ねるごとに競馬が上手になっている印象で、この日も大外から3、4コーナーで先行馬を射程圏に入れ、直線も力強く抜け出す横綱競馬。ウォッカなどと較べると印象度で見劣りますが、この馬こそが最大の惑星となるのは間違いのないところでしょう。馬体がこれ以上減らないことが条件です。

スプリングS、若葉S

フライングアップル横山典弘騎乗で新味を見せました。控え気味の競馬になることはレース前藤沢和調教師の示唆されていたとおりではありましたが、道中最後方になることまでは師にとっても想定外だったことでしょう。それでもこれまでのジリっぽさがまるで嘘に思えるかのような爆発力で差し切り、フサイチホウオーら有力馬のひしめく本番へ向けて逆転の可能性を残して見せました。能力を引き出した横山典弘の手綱さばきは見事の一言。自在に立ち回れる脚質はレースの選択肢の幅を広げ、ごちゃつきやすい皐月賞においては有利に働くはずです。若葉Sは久々のレースとなった岩田康成騎乗のヴィクトリーが勝利。掛かり癖は休養前のままでしたが常識の範囲内でした。皐月賞本番へ向けて不安材料にはならず、むしろスピードが優先されるレースだけに有利に働く可能性もあります。しかし陣営が「休養前よりも制御しにくくなっている」とのコメントを残しているだけに、ダービーまでをも展望した場合には慎重な対応が必要になってきそうではあります。