愚痴

ディープインパクトが帰国しました。レース後も日本にいるときと変わりなく、息の入りも良かったらしく、遠征の顛末も3着という結果を省けば、きっちりと青写真通りにいったようです。
さてさて、ここからはあくまで「私見」として述べさせてもらいたいと思います。
ディープの敗戦によりメディアが報道した内容は、3着だったとはいえ世界最高峰のレースでの健闘をたたえるものでした。3.5kgの斤量差がなければとか、仕掛けがもう少し遅ければとか、もういい加減にしてくれないか、と言いたくなってしまいます。日本の競馬が送り出した最強馬が、強敵に変わりはないといえども、4番人気の3歳馬と人気薄の牝馬に敗れたのです。通常よりも重い斤量だとか、仕掛け早だとか(しかも、日本での走りからすれば、いつのよりも遅いぐらいの仕掛けだ)、そんなもの二次的な敗因にすらなりえないとは思わないのでしょうか。そうでないのならば、我々が今まで見てきたディープインパクトはナンだったのか? 相手が強すぎた? 7年前のエルコンドルパサーは日本でいる時と同じ競馬を異国の地でも繰り広げていたではないですか。その時、斤量差3.5kgを言い訳にしましたか?
敗因を分析するのならば、そんな表面的なものではなく、もっと根本の部分を探りたいと思いますし、その目はやはり、矛盾だらけの検疫制度に向けるしかありません。滞在60日間を超えたら着地検疫にかかる期間は3ヶ月。年末にある大レースへの出走を考えれば、プレップレースでのひと叩きが不可能だった(厳密には可能であったかも分からないですが、レース後の疲労など様々な危険を伴います)ことを物語っております。エルコンドルパサーの海外遠征初戦敗退(イスパーン賞2着)も、絶好の手ごたえで直線を向きながら追い出すと案外で、後方からの追い込み馬に差されたものでした。しかし、エルコンドルは長い滞在競馬で次第に欧州の競馬に慣れて行き、サンクルー大賞圧勝からも分かるとおり、絶好の手ごたえから追い出してもシッカリと伸び切る、日本にいた時と同様のレースが可能になっていました。
欧州の一部海外競馬専門誌がローテーションを敗因に挙げたように、いくら馬体を完璧に仕上げたとはいえ、ぶっつけ本番で、ましてや凱旋門賞へ挑戦するには、あまりにも無謀でした。もちろんそれは斤量や仕掛けなどはまるで苦にすることのない、日本での「普通のディープインパクトの力」を発揮させるためのプロセスとして、無謀であった、ということですね。そのローテーションを取らざるを得なかったのは、やはり着地検疫の制度です。
JRA(農水省?)はあれだけTVCFで凱旋門賞挑戦をPRしておきながら、ディープインパクトにとっての最大の敵でもあった、というのがしがないいち競馬ファンが分析する、凱旋門賞の敗因です。本音5割、愚痴5割の感情に任せた文章になってしまいました。