休養

エイジアンウインズの春全休がこの程発表されました。昨年飛ぶ鳥を落とす勢いで勝ち星を積み重ね頭角を表し、ヴィクトリアマイルでは武豊騎手騎乗の圧倒的1番人気ウオッカを退けて一気にG1制覇までのぼり詰めました。その後、海外遠征のプランなどもあったようですが頓挫し、今現在まで未出走。この春の活躍が期待された一頭でしたが、それも秋以降に持ち越しとなるようです。
武豊騎手のウオッカでのヴィクトリアマイルの仕掛けは様々な所で議論の対象となりました。仕掛けが遅すぎる、というのがほぼ一般的。しかし私はそうは思いませんでした。07年秋の秋華賞3着から始まり武豊騎手が初めて騎乗したドバイDFまでの経緯と伏線。万全の仕掛けを施しても、ゴール前では必ず脚が上がってしまう、弱点ともいえる特徴を補うためのヴィクトリアマイルでの遅い仕掛けでした。
この作戦は私は嵌ったと思っております。敗因はエイジアンウインズの意外なまでの強さ、そしてドバイ帰り478kgというデビュー以来最低体重で出走したウオッカの体調にあったと思います。私は某掲示板での議論の際に以上のようなことを物したところ、「この格下メンバーで2着は取りこぼしも良いところ」「上がり3ハロン33.2秒で自己最速を求めるようなレースで仕掛けを遅らせたこと自体駄騎乗」というような反論を受けました。勝ったエイジアンウインズの能力を評価するエントリは殆ど見当たらなかったと記憶しております。
まず相手関係につきまして。エイジアンウインズがそのフロック視された実力を証明するよりも前に、3着だったブルーメンブラッドが秋にマイルCSを完勝し、「格下メンバー」ではなかったことを立証したものと思います。
仕掛けにつきまして。確かに上がり3ハロン33.2秒はメンバー最速でほぼ極限の数字ではありますが、2400mのダービーでは33.0秒を記録しています。ヴィクトリアマイルの前半5ハロン通過が60.0秒ならダービーは60.5秒で、位置取りの差こそあれ時計的には大差ありません。「仕掛けを早くしていれば33.0秒以下が記録されていたはずだ」との意見も聞かれそうですが、早く仕掛けるとゴール前脚が上がってしまうのは前述した通りの特徴ですし、武豊騎手と四位洋文騎手との間でこの意見は一致しています。800m距離の短縮された舞台でダービーと同じような脚を使えなかったのは、ドバイ帰りで本調子ではなかったという根拠になるはずです。もっと明白な根拠を出しますと、その後中2週で臨んだ安田記念ではビッシリと調教を消化してプラス8kg。そして3馬身差の圧勝劇。岩田康誠騎手が絶妙のコース取りで導いた点も特筆すべきでしょうが、仕掛けの遅い早いで開く着差ではありません。ウオッカヴィクトリアマイルの敗因は体調が優れなかったことが第一。そして第二に相手が強かったこと。騎乗ミスではなくこの2点に尽きると思います。
武豊騎手に着せられた汚名はブルーメンブラッドによって晴らされたものと思うのですが、まだまだアンチ言説によって引き合いに出されているのが現状のようです。いち武豊ファンとしての甚だ身勝手な願いとしましては完全にその汚名を払拭して欲しいと、エイジアンウインズの今後の活躍に期待してしまうものであります。