2200mでどれだけ強い競馬をしてくれるか

すっかり放置してしまいましたが、時間が無くてもディープインパクトの出走前ぐらいは更新しないと。更新を中断していたこの期間のうちに、競馬界は様々なことがありまとめるのも一苦労ですので、ダービーやオークスなどの回顧はしないかもしれません。
春の天皇賞で世界前哨戦を終えたと思っていたディープインパクト宝塚記念出走は、果たして凱旋門賞を展望する上で妥当なものであるか。議論の余地こそ残されてはいるものの、前走以上とも噂される状態のよさはどれだけのパフォーマンスを見せてくれるのかという期待に摩り替わっているようです。2200mという距離はミドルレンジ、ロングレンジのスペシャリストと呼ばれる馬たにとって、とってもイーブンな条件。過去の宝塚記念勝ち馬を見てみても、春の天皇賞馬が名を連ねている実績が現している通り、1000mの距離短縮は決して不利な材料に当てはまりません。むしろミドルレンジのスペシャリストがここ数年では若干分が悪いという傾向にあるようですが。
ディープインパクトのベストディスタンスはどこか? 僭越を承知で断言させてもらいますが「長距離ではない」これが過去のレース振りからも自明であると考えます。2200mがベストとも言い切れるものではありませんが、3000m級のレースよりは競馬がしやすい、これも自明であるといえるでしょう。94年の勝ち馬ビワハヤヒデ春の天皇賞で勝つには勝ったものの、岡部幸雄騎手が終始なだめてなだめて3200mを乗り切ったレース振りは見た目以上に薄氷を踏む思いで手にした盾の栄光だったはず。一方で2200mに短縮された宝塚記念はというと、テンからほとんど手綱を緩めることなくリズム良く先行集団に取り付き、4角先頭から難なく押し切り、最後は5馬身差のレコード勝ち。レース後岡部幸雄騎手が「ビワハヤヒデのベストレース」と称したのがこのレースです。
ディープインパクトが春のグランプリに出走すると聞いた時、失礼を承知で本音を言えば国内で勝負付けの済んだメンバー相手に「弱いものいじめ」している暇があるのならば、早めに現地入りして環境に慣れさせるなりステップレースを使うなりしたほうが良いのではないかと思いましたが、2200mの宝塚記念で圧倒的な勝ちっぷりを示して世界制覇の夢があの春の天皇賞の2倍、3倍に膨れ上がるのだとすれば、出走意義も存在するのかもしれません。
京都の2200mといえば11年前の悲劇も思い起こされます。3コーナーの登りと降りを隔てる坂の頂点にディープインパクトが差し掛かった時の不安さえ乗り越えれば、後は「どれだけ強い競馬をしてくれるか」の期待感だけがゴールへ続いていく。