乱文

最初に断っておきますが、殴り書きに近いような文章になっています。
古い話題になってしまいますがコスモバルクシンガポール国際制覇について。
ファンの喉につかえていた鬱憤を一気に噴き晴らすような偉業でした。何よりも五十嵐冬樹を鞍上に迎えての勝利だったということが溜飲を下げる最たる要因です。バルクを中央競馬の舞台で一躍スターダムにのし上げた立役者であり、むしろ中央競馬への挑戦はコスモバルク五十嵐冬樹のワンセットによるものだったこのコンビによる復活Vはいわゆる「スポーツ的な側面を強調するのであれば」感動的な1勝となりました。馬主によるさまざま無理難題に振り回されながらも立ち直ったバルクの精神力の強さに脱帽するのと同時に、ひたすら我慢に日々を費やし異国の地で最愛のパートナーとともに悲願を勝ち取った五十嵐騎手にも賛美を惜しみません。お見事。
しかしこの勝利は同時にバルクにとって最大の害悪をも復活させてしまう結果になったようですね。
伝染病疑惑(おそらく大事には至らないはず)によって破談になる可能性が高まりましたが宝塚記念への挑戦表明。これ自体は悪いことではありませんが、その表明に寄せたオーナー代行である岡田繁幸氏のコメント。
「乗り方はこれから考える」
またか、という言葉が率直な意見であり、残念という思いが率直な感想です。彼のこの暴言(あえて恥言と呼ばせてもらいましょう)にはほとほとあきれ返ります。やれ「●●をマークしろ」、やれ「○○でスパートをしろ」。ペースや位置取りしだいで臨機応変な対応が要求される競馬という「生き物」にたち向かうにさしあたって、彼の恥言は足かせ以外の何ものでもありません。再三に繰り返される恥言の数々はコスモバルクの不振を自分自身の責任であると微塵たりとも感じていない証拠なのでしょうね。
そういえば安藤勝騎手が先日のオークス前に寄せた東京中日スポーツ掲載のコラムでキストゥヘヴンのことに触れた際にこんなことをかかれています。

「今度は距離が長くてペースダウンが見込まれるので、その分、神経を使います。というのも、カッとなる気性をしており、何かの拍子に引っ掛かる恐れがあるからです。
こうしたタイプの馬では、レース前にあらかじめ戦法を決めるのはちょっと無理。たとえば何番手に付けるとか、最後方から行くとか、作戦を決めてかかるのではなく、馬の気分に任せて自然体で乗るのが得策と思ってます。

「カッとなる気性をしており、何かの拍子に引っ掛かる恐れがある」など、コスモバルクに見事に当てはまる特徴ではありませんか! というよりもわざわざ例を出すまでもなくコスモバルクのような馬に対してアレコレ作戦を立てたり戦法を事細かに決めたりするのがいかに悪影響かなど火を見るよりも明らかだと思うのですが。。。
サイレンススズカは控える競馬を覚えこませようと陣営が色々と工夫したようですが、結局武豊騎手がまたがった当初から決め打ちされた「馬の行く気に任せる戦法」が破竹の快進撃を呼んだ逸話はあまりにも有名です。マヤノトップガンが97年の阪神大章典から天皇賞春までで見せた後方待機策も脚質転換ではなく前記の心に裏打ちされた戦法によるもので同じです。要するに「馬の行く気に任せる戦法」を取った結果、テンから走る気満々のサイレンススズカは逃げ、テンはダラダラと走るマヤノトップガンは追い込みの位置取りとなるのは必然だったのです。最近ではミッドタウンが控える競馬を覚えこませようとして失敗した好例ですね。
もちろん競走馬のタイプによって取るべき戦法の千差万別は出ましょうが、コスモバルクのような乗り難しい馬にアレコレと毎回異なる戦法を要求することがどれだけ愚かであるかは口に出すまでもないことです。岡田繁幸オーナー代行がどれだけ競馬サークルで幅を利かせようが競走馬の千差万別ある特徴をひとつに束ねようとする理念は理解しがたいというよりもわけがわかりません。
濃厚である宝塚記念回避で先延ばしになりましょうが、オーナーのエゴがコスモバルク五十嵐冬樹騎手を蝕むことになる危惧が再び沸いて出てきた、シンガポール国際の勝利となりました。