平安S〜根岸S

2週続けてのダートグレード競走は、ともにG1フェブラリーSへと繋がる大事な大事なステップレース。芝路線にくらべて比較的年齢を積み重ねても活躍を持続できるのがダート路線の特徴でもありますが、平安Sは若手の新興勢力が頭角を表し、根岸Sでも高齢馬とはいえ、やはり新しい波のうねりが渦巻くような結果となりました。
平安Sを制したのは明けて4歳となったタガノゲルニカ。内枠で包まれるのを嫌い、前へ前への競馬で直線抜け出しました。まだまだキャリア不足の同馬は脚質も定まっていない発展途上の身。これまでのパターンからするとやや自分の形を崩した競馬だったといえるでしょう。更に言えば重賞どころかオープンですら初挑戦の身。それでいて強豪ダート馬たちを相手取り好タイムで勝ったことは絶賛値すべき結果。父は近年、芝路線では頭打ち状態である反面、ダートでは不思議なほどに活躍馬を送り続けているブライアンズタイムタイムパラドックスに続き、G1での活躍が期待されます。また距離を問わず、息長く活躍できる下地も揃っています。
2着ヴァーミリアンは、スタート直後の落鉄が響きました。ましてや道中やや掛かり気味に追走するような展開。ラストの伸び脚は際立っていただけに、色々とスムーズであればと悔やまれる内容でした。フェブラリーS本番へ、こちらも格負けはしないはずです。芝・ダート兼用なのも東京1600mダートのコース形態を考えれば有利でしょう。
人気ヒシアトラスは昨年3馬身突き抜けた時ののような切れ味を発揮できず。これが実力ではありません。凡走後の本番も昨年3着を考えれば軽視できない存在です。
根岸Sリミットレスビッドが快勝。ガーネットSに続く重賞連覇はもはやフロックとは呼べません。この馬は明けて7歳ですが、ここにきての素質開花かと思いきや実はそうではなく、通産22戦して4回しか走ったことがない経験が示すように、これまで芝のレースを中心に使われ、しかもそこそこの好走を見せていたことにより、この馬の秘めたダート適性を見出す機会になかなか恵まれなかったからに過ぎないのかもしれません。内田博幸騎手の手綱捌きも見事でしたが、実はこの結果、順当勝ちだった可能性も全く否定は出来ません。本番も要注意です。
2着はタイキエニグマ。スタートのもっさりした感じは相変わらずですが、以前に比べて馬体に幅を持ち、更には脚腰に柔らかさが出たお陰で、春先までの粘りの競馬から一転、後方からの瞬発力勝負でも力を発揮出来るようになりました。展開不問の自在性を身につけたお陰で、この馬もG1を射程圏に入れたといっていいでしょう。
3着トウショウギアはチグハグなレースだったとはいえ直線は一端は突き抜けるような勢いを見せたことにより、一本調子なスピード馬ではないことを証明しました。4着サンライズバッカスは距離不足。前が詰まったのもスムーズに自分の位置取りを決められなかった適性の差でしょう。本番は昨年のダート王・カネヒキリを破った東京1600m。逆転の余地は充分です。9着に敗れたメイショウボーラーは本番では思い切った玉砕戦法が必要かもしれません。