AJC杯

シルクフェイマスの復活と見るべきなのか、好運の勝利と見るべきなのか、判断が分かれるところです。
大逃げに近いリードで単騎逃げたシルクフェイマスの1000m通過タイムは61秒3。悪化した馬場状態を考慮に入れたとしても遅いペースであることは間違いありません。それを上回る超スローペースで折り合いを付けた後続各馬は全く動きようがありません。レース自体は「逃げたもん勝ち」の、平凡なものでした。
シルクフェイマスはG12着の経験もあり、充実期にはゼンノロブロイなどと好勝負を演じてきた古豪です。近走は冴えませんが、秘めた実力は現役でもトップクラスに位置します。マイペースで逃げてにも関わらず、2着フサイチアウステルとクビ差の接戦になったのは、まだまだ本調子にないのかもしれません。よって、今回の勝利はそのまま復活と決め付けてしまうのは早計に過ぎないと言わざるを得ないところです。しかし、勝利こそが復活への妙薬となる場合も、往々にしてあり得ることです。再びG1ロードへ、今回の勝利がシルクフェイマスにとっての「きっかけ」になる可能性は充分でしょう。
2着フサイチアウステルは2番手で折り合いを付け、直線は後続を突き放して前を快走するシルクフェイマスにクビ差まで迫りました。上がり3ハロンは勝ち馬よりも0秒8早い35秒1。恐らく、今回一番強い競馬をしたのはこの馬でした。先週の日経新春杯で既に払拭されとは思いますが、ディープインパクト世代は弱いという風説も、これでより一層弱まることでしょう。
3着ハイアーゲームは相変わらず一瞬の脚が素早いですが、それを長く持続できないのも特色のようです。内田博幸騎手はテン乗りだったため、この特色を理解していなかったようです。もしもう一度騎乗する機会が与えられるのであれば、名手である彼のこと、動き出しを遅くし、ギリギリのところまで脚を貯め、ラストの末脚を爆発させる戦法を取ることでしょう。その機会が左回りであれば、馬券としては狙い目かもしれません。