G1を超えるG2

過去、幾多の名勝負を残してきた毎日王冠。秋のG1ロード直前という実施時期と1800mという手ごろな距離形態も相まって、中距離とマイルの強豪馬が出揃うことが多く、ある意味ではG1本番以上に見所のあるレースといっても過言ではないでしょう。
さて、今回17頭という頭数(過去最多らしい)が顔を揃えた毎日王冠。39年ぶりに牝馬として春のグランプリを制したスイープトウショウが出走してきましたが、本来王者として人気を背負うはずの同馬は慢性的な出遅れ癖と57キロという斤量が嫌われたのか、それほど支持を集めていません。そればかりでなく、猛調教を積んだ皐月賞ダイワメジャーと昨年度覇者テレグノシスの牡のG1馬2騎、32秒台の切れ味カンパニーにハットトリック、G2ハンターのバランスオブゲームなど、やはり今年も例年通りの中距離とマイルの強豪が顔を揃えたことが、春のグランプリーホースの人気を下げさせている要因ともなっています。強豪と個性派の競演はまさに実力拮抗、群雄割拠。今年も名勝負の予感を感じさせます。
コスモバルクもここに出走、今回は安藤勝が騎乗します。乗り方はどうするでしょう。安藤勝は「あんまり行きたがるようなら無理に抑えずに行かせる」と明言しています。しかしそれはあくまで乗り方に対する指示がなかったらの場合。オーナーである岡田繁幸氏は「腕力で行きたがる馬を抑えることが出来る」という理由から安藤勝を起用したことを認めています。自身の競馬理論が絶対であるとの確信(過信?)がある同氏は過去にもいたる部分で持ち馬の騎乗方法や調教方針、そしてローテーションなどにいちいち口を挟んできました。それによって事実成功をおさめているのでしょうが(でないと馬鹿の一つ覚えが失敗を繰り返していることになってしまう)、ことコスモバルクのことに関しては失敗の方が多いように思えます。今回も強権発動ということになれば安藤勝が自分の信念を放棄してまで馬を強引に抑えることは明白なわけで、春の二の舞は避けられないでしょう。距離が1800mに短縮される分、行きたがる気性もある程度は抑えがきくことでしょうし、直前追い切りでは上手くなだめることに成功したということですから、もしかすると折り合いピッタリに優等生のレースをするコスモバルクが見られるのかもしれませんが。
冒頭にも記しましたが、毎日王冠は過去、幾多の名勝負を残してきました。その歴史に汚点を残すようなことにならないと良いのですが。