宝塚記念

史上に名を残す新たな女傑が誕生しました。
第46回宝塚記念は道中中団より直線半ばで抜け出した池添謙一騎手騎乗のスイープトウショウが、大外を強襲した横山典弘騎手騎乗のハーツクライの追撃をクビ差振り切り優勝。牝馬による宝塚記念制覇は1966年エイトクラウン以来実に39年ぶり史上2頭目となる快挙でした。
池添謙一騎手の手綱捌きは見事の一言。位置取りはどこでもよかったはず。問題は仕掛けどころ。スイープトウショウは寸分の仕掛けの狂いで成績が右にも左にも動く極度にデリケートな馬。前走安田記念は本来であれば勝っていたはずのレース。僅差で2着に敗れたのは外から馬体を早めに合わせに来た馬がいた関係上、幾分仕掛けを早めざるを得ない展開になってしまったからです。
今回池添騎手は本当にギリギリまで仕掛けを我慢しました。3、4コーナーで差を詰めたように見えたのは前の馬がバテて来たからで、その間も池添騎手の手綱はずっと動かないままでした。直線を向くとギアを1段ずつ上げるように徐々に追い出し、残り250m地点で軽く鞭を入れ、更に残り150m地点でそれが連打に変わりました。後は栄光のゴールへ向かって一直線に駆け抜けるのみ。まさにベストな騎乗。今回の勝利は、一瞬の脚しか使えないパートナーの特徴を知り尽くした池添騎手でしかなし得ない勝利でした。
地力の高さも示しました。勝ち時計の2分11秒5も例年に比べて好タイムですが、見かけよりもその内容が秀逸。前半5ハロン通過が59秒9、そして間の1ハロン11秒8を挟んで、上がりの5ハロンが59秒4。前後半の時計がほとんど変わらないいわゆる紛れのない展開で、いかに今日のスイープトウショウが強かったかということがうかがい知れます。俺は安田記念の時この馬をマイラーと呼んでいましたが、そういう生半可な範囲に収まりのつくような馬ではなかったということですね(マイルがベストという評価を覆す気はありませんがw)。
タップとロブロイの凡走に助けられたとはいえ、今日の大駆けはフロックではないでしょう。秋はどういう路線を歩みますかねぇ?定石通りエリザベス女王杯を目指すのか、それとも力を発揮しやすいマイル路線か。はたまた牡馬を一蹴したことにより機運が高まるであろう天皇賞出走を目指すのか。池添騎手にはデュランダルがいる関係上でマイル路線はない気がしますがw


いずれにせよこの秋は女王が秋競馬を盛り上げてくれることで間違いないでしょうね。