都の舞踏会

言うまでもないことかもしれませんが、サラブレッドってのは馬だから群れを形成して団体行動をする動物です。
しかし時としてそんな群れの中に留まろうとしない馬というのも存在するようですね。「Ｇｏ　ｉｎｇ　ｍｙ　ｗａｙ」を地で行く馬とでもいうべきでしょうか。
類まれな身体能力や無尽蔵の心肺機能。一流の競走馬には必要不可欠ともいえるこの要素。それすら超越してしまうものが存在する。それは他でもない競走馬の内に秘めた「気力」。
「気力」があれば何でも出来る。といってはアントニオ猪木さんになってしまいますがｗ、極度の道悪や不意のアクシデント、そして全精力を振り絞った根競べ、極限の状態に見舞われたとき自身に襲い掛かる妥協の念に唯一対抗出来る手段は、どんな逆境にもくじけることのないこの「気力」なのです。

世界の強豪迎え入れ、府中晩秋泥んこ馬場。極悪街道、我先にとい先陣切って飛び出す駿馬ただ一騎。慣ぬ足場に幾度と脚を滑らせながら、それでも臆さず勇猛果敢にひた走るは栄光への序曲鳴り響く五百の王道。一世一代一人旅。はるか後方、従えるは年度の代表最強馬。千切りも千切った十馬身。埒に傷負い満身創痍の勝ち名乗り。踊れ踊れよ都の舞踏会。日の出国より海の彼方へ響け、タップダンスシチー。

彼が肉体と精神を振り絞って見据えるものは常にゴール以外にありえません。