宝塚記念

2200mという距離は非常にフェアな条件です。


距離的にはミドルディスタンスです。しかし好走する馬は中距離馬に限らず長距離馬までその条件は幅広く、過去の歴史から振り返ってみても、2200mという距離の一般的に言われるようなスペシャリストが存在した試しがありません。
そういう意味でもフェアなのでしょうが、何よりも中距離のやや速いペースと長距離のややゆったりしたペースの中間を取ったような流れになりやすいような距離体系なのが何よりもフェアなのでしょう。


G1宝塚記念でもその傾向は顕著です。
歴代の勝ち馬を見ても中距離路線をかたくなに歩んできた馬から、春の天皇賞の勝ち馬、もしくは好走した馬まで非常に幅広い分野に渡ります。
中距離馬ならば淡々とよどみのなく流れるペースに自身のスピード能力を生かしやすく、多少自身のペースよりも速めに流れる長距離馬にとってみても、スピードで押し切れる2000mまでの距離と違い1ハロン長い分だけ持ち前のスタミナを生かしやすくなります。
わずか1ハロンの違いだけで要求されるポテンシャルはこうまでも変わってくるものなのです。


競馬サークル内ではいまだ2400mこそがチャンピオンディスタンスであるとの認識が根強いようですが、2200mの方が幅広い路線から実力馬を集められる利点もあるし、そういった馬たちにとって能力を発揮しやすい距離体系であるという事実も合わさり、チャンピオンディスタンスとしては向いているのではないでしょうか。
実際問題、長距離色の濃くなる2400mにまで距離が延びてしまうと、中距離馬の台頭がとても難しくなります。1ハロン違うだけで要求される能力は相当に異なってくるというのは、前述した通りです。


さて、今週の夏のグランプリ。
恐らく今年も主導権を握ることになるであろう前年度の覇者タップダンスシチーに対し、04年度代表馬ゼンノロブロイはどのようなレース運びで対抗するでしょうか。タップの出方が分かっているだけに、そこにどこか妙味を感じてしまいます。春の天皇賞勝ち馬の名前がないのは残念ですが、今年も恐らく王者決定戦に相応しい総合力の試されるレースになることでしょう。