浪漫を追い求め

やっぱり金なのなぁ。
JRA発表によると、栗東・森厩舎所属で1200mの重賞を2勝しているキーンランドスワンが近く英国遠征を敢行し、当地のG1ゴールデンジュビリーSとジュライCに出走するとのこと。国内では一流半に留った成績しか収めていない同馬ですが、それでも果敢に海外の強豪にぶつけさせるチャレンジ精神は森秀行調教師らしいですね。何とも小気味よいです。


森調教師といえば日本でもっとも海外遠征に積極的な調教師として知られ、98年にはシーキングザパールで日本調教馬初の海外G1制覇を成し遂げた、いわば海外遠征のパイオニア的存在です。報奨金制度(海外G1制覇時にJRAより支給)が撤廃された影響で、近年激減してしまった感のある海外遠征ですが、それでも森調教師はリスクを省みずに何度も挑み続けております。いち競馬ファンとしては、そんな彼の姿勢を応援したくなってしまいますね。


さて、リスクと申しましたが、そのリスクってのは一体どんなもんなんでしょうかね?ちょっと考えてみましょう。
まずは遠征費。当たり前の話ですが現地で馬が住める場所をまず確保しなければなりません。更に馬ってのはとってもデリケートな動物だから、現地の食べ物や水では食が細くなってしまう可能性があります。なので普段から食べている飼葉なり水なりを国内から取り寄せなくてはなりません(例外はあるでしょうが)。そうなると世界的にも物価の高い日本の物資を取り寄せるということになりますから、当然お値段もはりますよねぇ。


ん?以上だな。
まぁ卓状の計算で考えられるリスクなんてのはそんなもんなんですよね。先にも述べたように馬はデリケートな動物だから環境の変化を敏感に感じてしまい、しばらくはそれに慣れるのに時間がかかりますので、それがリスクといえばリスクなんでしょうが、現地の環境にさえ慣れてくれれば別段どうってことはないでしょう。エルコンドルパサーのような長期遠征を施せばいいだけの話です。


能書きはここまでにします。要するに金なんですよ。レース賞金の極端に安い海外のレースよりも賞金王国である日本で競馬させた方がはるかに儲かるんですよ。所詮海外に行かない理由なんてそんなもんです。それが色んな調教師やオーナーが語っているリスクなんですよ。別に金に固執することを非難しているわけではありません。ってかそっちの方が人間らしいし、むしろ共感すら覚えるんですけどね。ただ、海外遠征をしますよと散々マスコミにぶち上げておきながら、前述したような「綺麗なリスク」を理由に最終的には行かないっていう某関東No.1トレーナーと某関西大御所トレーナーに俺がウンザリ来ているだけなんですよっ、ワハハw。


反面、森調教師は挑戦し続ける理念を絶やさずに、今回も海外遠征を決断してくれました。そこには打算の口実に勝る、夢をいう浪漫が彼の胸中に存在するからに他ならないと俺は考えます。その結果一敗地に塗れようとも、追求した理念は必ず「次」に生かされるはず。その「次」は何も森調教師だけに訪れる機会ではなく、後進のホースマンたちのものかもしれないのです。今後の競馬界発展の為に、キーンランドスワンの遠征が幸多きものになるよう心からお祈り申し上げますです。


今回やり玉に挙げた2人の某調教師は今のまんま大口叩いているだけじゃファンに愛想つかされるよ〜。もう稼げるだけ稼いだんだしさぁw