先行馬絶対有利の傾向による競馬のスポーツ性は

平林雅芳氏の今日更新のコラム高松宮記念のレース回顧が掲載。その一番下の段落からの引用。

これが近年の競馬だと言えるほどの、前々での決着となった。
馬場コンディションがすこぶるいいから、内々の前々で競馬できる馬が絶対有利なのは理論上からも判る。
最近の競馬で前が競り合って共倒れなんて結果の競馬は、あまり見ない。
行く方が絶対に有利なのであり、コースロスを防ぐのも騎手にとって当然だろう。
判りきっているのだが、差し馬に注目してしまう馬券の素人の貴方。
実は私もそうであり、毎回、先行馬や前々で競馬するジョッキーにやられている。
もういいかげんに気が付いても良さそうなものだが・・・。
競馬は展開であり、逃げ馬、先行馬を買っていれば損はしないのだ・・。  

以下は平林雅芳氏の批判でもなければ皮肉でもなく、ただただこの記事を読んで私が思ったことをあれこれと独り言として綴ったものになります。



競馬ブームは古くはハイセイコーテンポイントなど、人々の心を打つ時代の最強馬たちによってもたらされてきたもの。オグリキャップが昭和末期と平成初期の間に現れ何度目かの競馬ブームが到来し、その引退と同時に出現したトウカイテイオーメジロマックイーン、更には武豊らの活躍が軌道に乗せ97年にピークを迎え、以降減退の一途を辿っております。
スターホースとスタージョッキーが競馬ブームの火付け役だとすれば、人々がその魅力にひきつけられるのは決して競馬の本来持つギャンブル性に由来されるものではないはずです。自分の好きな馬・騎手の馬券を身銭を投じて(というといやらしいけれど)購入できる、「自分も参加している」感覚。これこそ私は競馬の楽しさであり醍醐味の一つだと思うわけです。
馬場整備の充実と何より競馬のスローペース化が手伝い、今の競馬は先行馬圧倒的有利。内埒沿いの芝コースはどれだけ芝がはげてしまっていても、ガチガチに固めればスピードの出る状態を維持できる。差し追い込み馬には最初からハンデが付きまとい、スタートから前に進出した馬か、インコースがたまたまポッカリと開いたが故に棚から牡丹餅的に勝利を手にする馬と騎手が多くなる。勝ち方が極めて限定されるために馬も騎手も個性がなくなり、誰にでも分かりやすいインパクトが肝要であるスポーツ性も完全に損なわれてしまっている。胸のすくような大外一気は大外ぶん回しと揶揄され、内埒一頭分ピッタリと周ってくる騎乗が巧いと絶賛されるようになる。「競馬は生き物」という格言はもはや死語。同じルーティンを組み合わせだけ変えて見せられているのと同じ。これで新規のファンがどこから出現するのでしょうか。
私自身競馬という競技に取り憑かれて20年以上となります。もうこの趣味は生涯やめられそうにありませんので、競馬がスポーツ性を失ってしまったとしても、この競技を見捨てるつもりはありません。しかし人々を虜にするスポーツ性が欠落してしまっている今、競馬の衰退も致し方なしとは否応にも思わされてしまいます。
もう一度言いますが上にリンクさせていただいたエントリに対する批判でも皮肉でもありません。私が平林雅芳氏のコラムを目にしてただただ寂しく思っただけのことです。