最重要とされる前哨戦を快勝したアドマイヤキッスの通る道は栄光へのゴール版に通じていたはず。それも13年前1等星ベガにより駆け抜けた陣営が導くエスコートにより眩いばかりに開かれていたはずのヴィクトリーロード。その行く手を阻んだのは誰あろう、1等星ベガの孫にあたるアドマイヤベガの忘れ形見、小兵なお転婆娘でした。
酷似した臨戦過程と同じ枠順、そして何よりそれを手掛けた武豊、松田博師、山口厩務員という揃いすぎた桜の合言葉。全てが追い風となっていたはずのその道程に、名牝ベガが脈々と伝え繁栄させる血が、近藤オーナーにとっては栄光のダービーをもぎ取って来た愛馬の血が、ゴール寸前あたかも遮るかのように吹き抜けた一陣の風となった、今年の桜花賞。何よりも勝ち馬の授かった名前が血の成せる神がかった覇業、そして抵抗の後押しになった気がするのは競馬に浪漫を求めるものの戯けた妄想でしょうか。
キストゥヘヴン。百花繚乱の祝福が天より阪神のターフに舞い落ちた。