弥生賞

トライアルの開幕です。
素質馬が集中するこの弥生賞は少頭数になることが多く、その分だけともすれば本番皐月賞以上に見応えのあるレースとなり、後年に名を残すことがあります。今年も10頭だてとなり、昨年度2歳王者が不在とはいえ強力な駿馬が2騎その名を連ねました。
2歳王者を打ち下した共同通信杯から1ヶ月、早くもアドマイヤムーンが出走。前走は収穫だらけのレースでした。武豊の好騎乗が称えられたこのレースでしたが、ただ「好騎乗」とだけ形容したのでは彼のやってのけたコトの凄まじさが薄れます。スタートから最内枠に逆らわず馬群の中でレースを進め、スローな流れを折り合いスムーズに追走。直線は内から一気に外へと進路を変え、馬の間を割る器用な芸当を披露しました。ヨレる悪癖に気を使いながら追ったのはラスト200mぐらいになってからで、1頭になるとソラを使う弱点を抑制。仕掛けに鋭敏に反応したアドマイヤムーンは見事フサイチリシャールを半馬身差しきりました。
これまではやや大味なレースを繰り返してきたアドマイヤムーンがこのレースで学んだ経験はとてつもなく大きい。恐らく競馬を3戦、4戦したのと等価値です。管理する松田博調教師は今後のレースに継続して騎乗してもらうのと同時に、このレースで様々な経験をさせてくれることを武豊に期待したものと思われますが、その師でさえ、まさかこれほどまでの収穫をもたらしてくれるとは想像だにしていなかったことでしょう。僅か1戦でG1を戦い抜くためのいろはを叩き込んだ武豊という騎手は、やはり天才です。
問題は体調ですが、前走は直線ギリギリまで仕掛けを我慢させたように余力充分の競馬でした(この辺も武豊の教育のもたらした相乗作用か)。反動は少ないはずで今回も好走必至とみます。