快進撃

横山典弘が魅せました。
今日の東京開催2〜6Rまでを6連勝。故・岡潤一郎騎手が89年に記録したJRA連続施行競走連勝記録5連勝を約16年ぶりに更新しました。
素晴らしい記録であり快挙。天才・武豊も1日8勝の記録を持っているとはいえ、連続騎乗での達成ではありませんでした。さらに連勝記録の人気を勝ち鞍順に並べると、1、6、4、1、8、2番人気。勝負とは時の運だし今回騎乗した各馬が必ずしも人気通りの実力だったとは言い切れません。しかし上位人気に固定されていない騎乗馬でおさめたこの成績は決してただ単純に乗り馬に恵まれての記録達成ではなかったことを物語っています。横山典弘はこの日のメーンレースも制して1日7勝。2、3着も1回ずつと騎乗した全てで馬券に絡む大爆発ぶりを見せつけました。
関東リーディングを突っ走る今季の横山典弘の快進撃は生活環境の改善によってもたらされたものと本人は言います。95年に初めて関東リーディングを獲得した時にもインタビューで同じようなことを語りました。再び勝負にこだわる。それまで浴びるほど飲んでいた酒を一切断ち夜遊びも控えて競馬1本の生活に転換。調教にも積極的に参加し東西の有力厩舎の信頼を得ました。藤沢和雄調教師とのコンビ再結成も地道でひた向きな努力の賜物から勝ち取った、師の彼自身への評価だったに違いありません。
今の横山典弘に慢心はありません。
「負けてはいけないレースで負けてしまったりしたこともあるので、まだまだだと思います」
6連勝よりも先に達成した通算1600勝でのインタビューでそう語った彼の胸中には、天皇賞で惜しくも敗れ去ったゼンノロブロイのことや過去に跨った幾多の名馬たちで味わった大レースでの悔しさが甦っていたことでしょう。その悔しさがあるからこそ1つの勝ちに満足しない。1つ勝って次も勝ちにいける貪欲さを養える。その姿勢がもたらした快記録達成。横山典弘の騎乗センスは研ぎ澄まされる一方です。
G1勝利は人気薄から無欲で挑んだ昨年春の天皇賞でのイングランディーレより久しくありません。
「GI戦線でも人気に応えられるように頑張りたいです」
そう語った彼の決意が結実する日は、そう遠くないことでしょう。