インターナショナルS前夜

昨秋秋G1レース3冠馬ゼンノロブロイが最低人気かもしれないという報道がありました。
昨年のキングジョージ勝馬ドワイエンや、A・オブライエンの送り込む刺客エースなど、それなりに骨っぽいメンバーが揃ったとはいえ、この報道がもし本当だとしたら不当に低い評価だと言わざるを得ませんね。前年秋にJCを制したのみに留まり、ロブロイよりは明らかに成績で劣るはずのエルコンドルパサーが、渡欧直後から現地競馬サークル内で騒がれ、遠征初戦のイスパーン賞で1番人気に推されたのとは大違いです。何が違うのでしょうか。
一番の違い。それはJCの価値基準低下に他ならないでしょう。


初めて国際レースとして世界認定を受けた92年より、世界でもトップクラスと誰もが疑わないレベルの馬が来日するようになったJCは、以来数年に渡りその価値基準を世界的に向上させてきました。しかし、欧州では凱旋門賞と英国チャンピオンSが終わりオフシーズンに入ってしまうということと、米国の競馬の祭典ブリーダーズカップ(BC)の開催時期と被りやすい番組形態とあわせ、日本馬のレベルが近年急速に高まり、勝つことを至難の業にさせてしまったことが、徐々に諸外国のトップクラスの馬を管理する陣営に嫌われ、レースレベルの低下、引いては国際的な評価を下げる結果を招いてしまったのです。更にBCから1ヶ月以上の余裕を持って調整できる開催時期にある、香港カップの充実が決定的な打撃となってJCの国際基準の凋落に拍車をかけてしまいました。


ゼンノロブロイは極悪馬場を一人旅で逃げ切ったタップダンスシチーを除けば、JCを史上最大の着差(3馬身)で圧勝した馬です。史上2番目の着差で勝利し、翌年世界の頂点まであと一歩と手が届きかけたエルコンドルパサーの活躍を例として踏まれば、やはり日本の王者を舐めすぎていると言わざるを得ませんね。ましてや、エルコンドルパサーから世界一の座を掻っ攫って行った、モンジューのような強豪は今回、いないのです。
痛い目を見るのは日本の王者か、それとも欧州の競馬ファンか、明日のスタートを心待ちすることにしましょう。