新馬戦開幕

それは2006年クラシックロード開幕をも意味する・・・
今週18日から中央競馬は福島、函館に舞台を移し新馬戦がスタート。今年はアグネスタキオンクロフネテイエムオペラオーメイショウドトウステイゴールドなどが初年度産駒をスタンバイさせています。いずれもいわずと知れた名馬ぞろいですが、近年の国産種牡馬躍進の背景も手伝い、例年にない期待がこれらの新種牡馬たちに注がれています。
競馬ってのは眉唾物だから過度の期待は禁物。。。と言いたいところですが、そんな冷静な目も血走らざるを得ません。それは彼らがいずれも記憶と記録に残る名馬たちだからです。


アグネスタキオンはいまだ幻の3冠馬と語り継がれているほど、現役時代は底知れぬ強さを発揮しました。通産戦績は4戦4勝。そのレース振りは今年無敗の2冠を達成したディープインパクトとまるで遜色ないほど圧巻そのもの。キャリアわずか2戦目で挑んだラジオたんぱ杯2歳Sでは怪物クロフネと後のダービー馬ジャングルポケットを全くの子ども扱い。
3冠確実が噂された翌年弥生賞ではこの年の年度代表馬マンハッタンカフェらを5馬身以上の大差で退けました。皐月賞も危なげなく制し、いざダービーと機運高まった矢先の屈腱炎発症であえなく夢破れましたが、無事ならばディープインパクトの無敗3冠達成はルドルフ以来とは呼ばれなかったはずです。


クロフネはややムラ駆けする嫌いがあったものの、その実力をフルに発揮出来た時は競馬史上類を見ないほどの強さを発揮しました。
毎日杯では3歳馬として初めて2000m1分59秒の壁を破る1分58秒6。そのクロフネが5馬身の差をつけた2着には後に有馬記念で3着するコイントスがおり、更に5馬身離された3着には03年度春の天皇賞で1番人気に推されたダイタクバートラムが入りました。
秋に入るとダート路線へ。初ダートとなった武蔵野Sでいきなり1600m1分33秒3(!)の驚異的な日本レコードをマーク。次いで出走したJCダートは向こう正面からまくって出るというセオリー無視の戦法を仕掛け、並みの馬なら直線止まるところをこの馬は更に後続を突き放して見せた。結果またしても2100mの日本レコード2分5秒9。7馬身差の2着に昨年度の覇者ウイングアローが入ったことにより、クロフネの強さがますます浮き彫りになった1戦となりました(ウイングアローも自身が前年にたたき出したレコードタイムをコンマ2秒詰めている。当時はそのレコードでさえ驚異的なタイムだといわれていた)
わずか2戦のパフォーマンスで文句なしのJRA賞最優秀ダートホースを受賞。それを引っさげて翌年世界最高峰のレース、ドバイワールドカップを出走を目指すもやはり屈腱炎で断念。電撃的に引退、種牡馬となりました。ドバイ遠征がかなっていれば力を出し切れればの条件つきとはいえ、優勝は間違いなかったとまで言われております。


テイエムオペラオーはルドルフと並ぶG17勝と、史上最高となる獲得賞金20億円の金字塔を打ちたて、20世紀末に一時代を築き上げた功績から「世紀末覇王」と呼ばれた名馬です(それにしてもオペラオーほどの名馬をもってしてG1勝利数でルドルフを上回ることが出来なかったのは今更ながらに皇帝の偉大さを思い知らされるw)
そのオペラオーの後塵を拝し続け、G12着が5回というあまり名誉でない成績を収めたメイショウドトウもやはり名馬です。何せオペラオーさえいなかったらG1を6つも勝っていた(笑)
ステイゴールドは6歳で重賞を初制覇。翌年7歳の身でドバイに渡り、99年、00年とエミレーツワールドシリーズ2年連続王者となったゴドルフィンファンタスティックライトを真っ向勝負のもとに下し、世界的な脚光を浴びた遅咲きの名馬。
ステイゴールドに敗れたファンタスティックライトがその後にみせた快進撃により、いつしか関係者の間では「世界のステイゴールド」の異名をとるまでになり、引退レースとなった香港ヴァーズでは再びロイヤルブルーの勝負服を身に纏ったゴドイルフィンのエーカーをゴール前で差しきり、感動のG1初制覇を果たしました。


記憶と記録に残る名馬たちが時をこえたターフに送り出す分身が、今度は競馬ファンにどんな浪漫を見せてくれるでしょうか。今年もクラシックロードが始まります。