小倉記念

勝ったのはダンスアジョイ。乾坤一擲の追い込みタイプではありますが、常に速い上がりを計時し安定して上位に食い込むシーンを演出して来た同馬。しかし一瞬の切れ味が身上であるが故、仕掛けどころの難しさがいつまでも付きまとい、賞金圏内には来ても勝ち切れないというイメージ。それは逆に展開さえ嵌ればと思わせるものだったはずなのですが、今回16番人気の低評価。目黒記念で惨敗を喫していたとはいえ、この出走メンバーを考えれば盲点だったと以外言いようもないでしょう。鞍上角田晃一騎手は元々の主戦騎手。今回久々のコンビとなりましたが一瞬でも仕掛け所を誤ればラスト甘くなるこの馬の弱点を補う完璧な騎乗。馬場が悪くてもイン寄りでジックリ我慢させ伸びきったところがゴール板前。8歳の重賞初制覇はこの好騎乗なくしては有り得ませんでした。毎レースこれが出来るとは思えないことが歯がゆい。
2着にホッコーパドゥシャ。好スタートから中団馬群の真ん中あたりの位置取り。ズブい馬の扱いに手馴れている武豊騎手が上手なレース運びで誘導しましたが、外からダイシンブランが捲って出て来たところで外から被せられてしまったロスが最後に響いた印象です。着差(ハナ)を考えればあれがなければ、と思わせます。しかしながらやはり堅実な末脚。福島のレコードホルダーではありますが、元来広いコース向きで新潟記念に向かうようならば、また要注意の馬となることでしょう。
3着クラウンプリンセス。クラシック候補と評価されたのはもう3年も前の話。5歳と熟年期に入って安定感と粘り強さが増しました。ベストとは思えなかったこの2000mでも自分から動いて出るいつものパターンで好走できたのは収穫でしょう。太宰啓介騎手の手にも合っているようです。
4着エーティーボス。同じナリタトップロード産駒でも決め脚が身上のベッラレイアとは違い、粘り強さで勝負するタイプ。ゴール前あわやのシーンを作ったあたり、平均ラップから最後も止まらないレース展開も味方した結果でしょう。
5着エリモハリアー。洋芝の札幌を敬遠して高速馬場の小倉に転戦して来た経緯は不明ですが、一応の結果は残して見せました。9歳馬と高齢でネオユニヴァースらと同期。その仔がダービーを制覇している現状を考えれば、お見事と言うより他にはありません。
2番人気のダイシンブランは9着と惨敗。1番人気のホッコーパドゥシャに狙いを定めた仕掛けは藤岡康太騎手の好判断だったとは思いますが、直線の踏ん張りどころでファイトバックし切れなかったのは、微妙に距離が堪えたのかもしれません。こなせないのではなく、ベストではないということ。重賞の底力勝負では決定的な差を生み出すような気がします。