日本ダービー

ロジユニヴァースが鮮やかな復活V。皐月賞14着からの巻き返しは異例でしたが、その敗因はやはり最終追い切り後3,4日間で10kg以上の体重減があったことと見て間違いなさそうです。ダービー当日の馬体重はプラス16kg。しかし昨年暮れのラジオNIKKEI杯と比較すれば、プラス2kgに留まります。出走するたびに馬体を大幅に逞しくして来た馬ですが、一方で間隔を短くして使えない体質の弱さを慢性的に秘めた馬でもあります。横山典弘騎手は中間の気配に調子が戻りきっていないという感覚を抱いていたようですが、陣営のたゆまぬ努力が実を結んだ勝利といえるでしょう。関東馬のダービー制覇はサニーブライアン以来12年ぶり。関東の厩舎からこれだけの馬が出現したという事実も特筆事項ですが、その能力を大舞台で開花させた萩原清調教師の手腕も賞賛を浴びるに相応しいでしょう。
横山典弘騎手はこれがダービー15回目の挑戦。早くから関東期待の星として勝ち星を量産してきたその抜群の騎乗技術は、当時多くのベテランの肥えた目を唸らせてきたと聞きます。10年目に関東リーディングを初めて達成した時にも、「むしろ遅すぎたぐらいだ」と評価する同業者までいました。サクラローレルセイウンスカイなどでファンの印象に深く刻まれる騎乗を幾度と無く見せつけたかと思いきや、一世一代の騎乗ミスで悲劇の末路を辿らせてしまったホクトベガドバイワールドカップなど、苦い経験も多く味わってきました。G1で積み重ねた2着の数は1着のそれを大きく上回ります。それを揶揄するかのようなさもしい風潮があちらこちらで囁かれる中、本人も自虐的にそれを笑いのネタとして扱うようになってしまいました。しかし、誰がどう見ても、全て横山典弘の好騎乗によりもたらされた見事な結果。
ロジユニヴァースという強いパートナーを得て、当たり前のように素晴らしい騎乗を見せつけ、当たり前のようにダービーを制覇して見せた。それだけのことです。ですが、競馬関係者は勿論のこと、競馬ファンの多くがその勝利を自分達の勝ち負けとは別次元で祝福したこと。横山典弘という騎手への絶大なる信頼性を物語っていたように思えてきてなりません。
※レース回顧は後日。