NHKマイルC

少し遅くはなりましたが、明暗参ります。

ジョーカプチーノの勝利。好スタートから馬任せの扶助で進み、自然と2番手を追走する形に。前走と違い折り合いピッタリでリズム良く行けたことが大きな勝因になろうかとは思いますが、勝ち時計は1分32秒4のレースレコード。あのキングカメハメハがマークした怪レコードをコンマ1秒刻む文句の付けようのない力の勝利でした。思えばダートでデビューし5戦目からが芝。その5戦目も結果的に7着に敗れはしましたが、不良の馬場コンディションで殆ど参考外。返す1200mを連勝して一介のスプリンターのイメージが定着し、この馬の真の実力をブラインドに追い隠すことに相成った、といったところなのでしょう。若武者藤岡康太騎手の思い切りの良い騎乗も特筆もの。勝利騎手インタビューでのインタビュアーの少し難しそうな質問にも全く動じず、「帰ったらカプチーノが飲みたいです」と返して見せ、G1を制する大物然たる片鱗をアピールしました。今後はダービーを目標にするとのことですが、3歳の1200m重賞勝ち馬によるダービー制覇はそれこそ怪記録そのもの。グレード制導入後に限れば前代未聞のこと。最高峰のレースに楽しみがひとつ増えました。
2着にレッドスパーダ。人気馬の中では最も前の位置取り。1,2番手が大きく後続を引き離すレース展開にも自分の競馬を崩すことはなく、あくまでマイペースでの競馬。後方に人気の、それも末脚勝負には絶対の自信を持つ馬たちが息を潜めて待っていることを考えれば、横山典弘騎手の騎乗は誉められて良いものです。「相手を間違えた」とは思いたくありません。この馬自身、持てる能力を最大限発揮しており
1分32秒7の走破時計。大崩れしない堅実な末脚が今後も一線級でも活躍の場を作ることになろうかとは思いますが、逆に勝ち切れない馬の予感も。
3着グランプリエンゼルレッドスパーダの前3番手を追走。流れが向いたことも好走の大きな要因ですが、それ以上に折り合いピタリでレースを進めることが出来た点が強調されるべきです。そこが4着マイネルエルフとのクビ差です。
5着フィフスペトルは伸び案外。意外とG1級では切れる脚のない馬なのでしょうか。
6着ワンカラットは出遅れが全て。ペースも速くはならず、最悪の展開。桜花賞と同じくもったいない競馬となってしまいました。コースを問わず能力を発揮出来る馬であることが立証されたことが収穫でしょうか。

人気馬

1番人気で9着に敗れたブレイクランアウトはどうしたのでしょうか。好スタートから馬任せに競馬をするのは予想されたとおり。3、4コーナーでも手応えは悪くありませんでしたが、「抜群」とは言えない手応え。追ってからの伸び脚も、アドマイヤムーンを彷彿とさせた共同通信杯と比べると雲泥の差。上がり3ハロン34.0秒は高速馬場を考えると納得の行くものではありません。休み明けやスッキリし過ぎていた馬体を敗因と考えるのが妥当かとは思いますが、今回失われていた気迫をダービー当日までに取り戻すことが果たして可能なのでしょうか。陣営の手腕の問われる3週間となりそうです。
2番人気アイアンルックは8着。4コーナーで外に切れ込んできたサンカルロにモロに前方をカットされる致命的な不利。一瞬の脚こそありませんがジワリジワリと速い脚を繰り出すこの馬の特徴を考えれば、「不利がなくても勝てなかった」とするのもかわいそうな話です。東京コースも最適と思われていただけに、この敗戦によってダービー出走が賞金的に困難な状況に追い込まれてしまったことは何とも残念です。
3番人気サンカルロは8位入線も2度の走行妨害により最下位降着。内に逃げ先行馬が揃い、ほぼ無条件で前に壁を作ることが可能となる絶好の4番枠の利を全く活かさない、後方待機策。ペースが緩み、前を目指そうにも後方で作った馬群の壁が自らの行く手を遮る、本末転倒ぶり。ラストもそのロスを挽回することなく外に持ち出して迎えた直線、前走NZTではそこで1馬身以内の射程圏に捉えていたはずのジョーカプチーノは10馬身以上前方を悠々と快走。この時点で勝負は決していましたが鞍上が泡を食ってしまったのか、あろうことか走行妨害を2回。吉田豊騎手一世一代の騎乗ミスでしょう。8日間の騎乗停止は厳しすぎる裁定ですが、今後このような騎乗をすることは無いと当ブログでは前向きな解釈を残しておこうかと思います。
何にせよ人気上位馬3頭がいずれも満足のいく競馬を出来なかった点が波乱を演出したといえるでしょう。